今回は初オリンパス。
21世紀の現在でもミラーレス一眼にその名が脈々と受け継がれている、OMシリーズの元祖『OM-1』を取りあげたいと思います。
エンジニアとデザイナーを兼ねる希有な技術者であり、オリンパスで「PEN」シリーズや「XA」シリーズなどカメラ史に残る多くの傑作を手がけた米谷美久氏の思想が、一切の妥協なく注ぎ込まれた一眼レフが、1972年発売の「OM-1」です。(発売当初は「M-1」という名称でしたが、ライカのクレームにより翌年「OM-1」と名称変更したのは有名な話。)
当時の一眼レフの欠点「大きく、重く、うるさい」を三悪として追放し、ストイックなまでにに小型・軽量を追求した機能とデルタ・カットを多用したデザインは、シンプルなだけでなく、どこか耽美的な印象さえ受けます。
では、OM-1の取説ダンディはどうでしょうか。
主役はカメラです、と言わんばかりの没個性ダンディ。
らしいと言えば、らしい。
それにしても、一番右の顔。
なぜこんなにも悲しく切ない表情なのか。撮りたくないのに、無理矢理撮らされているのか。
こんな表情のダンディが今までいたでしょうか。
一体なにを撮っているのか。
メリーゴーラウンドに乗る母と幼子ではないですか。楽しい被写体のはずじゃないですか。
でも、この幼子、笑っているのかと思いきや…。
号泣。
しかも、この親子の乗っている馬、よくみるとかなり怖い。かなり荒ぶっています。
黒く塗ったら黒王号のようになりそう。
BGMにシューベルトの「魔王」が流れててもおかしくないような、トラウマ必至のメリーゴーランド。
こんな光景、撮る方だって悲しく切ない表情になって当然です。
それにこのダンディ、そもそも広角レンズや標準レンズは好きではないようです。
なぜなら、望遠レンズを手にすると、
ほら、この通り。
まるで別人のようなこの表情!このポーズ!
これぞ取説ダンディにふさわしい!