取説ダンディ Vol.18

2019年最後の今回は、ニコンの全天候カメラ『ニコノスⅤ』を取り上げたいと思います。

1968年に発売された初代ニコノスから始まる「ニコノス・シリーズ」といえば、水中カメラの代名詞であり、数ある35mm銀塩カメラの中でも異色ともいえる存在です。

1950年代から現在まで、水中撮影をする場合は、ハウジングと呼ばれる大きな防水ケースにカメラを収めて使用するのが通常ですが、このニコノスVは、カメラ本体のみで水深50mmまでの水中撮影が可能でした。

さらには、ストロボや近接撮影装置、水陸両用レンズなど多くのアクセサリーや交換レンズが用意され、唯一無二の全天候システムカメラとして、水中だけでなく、登山や過酷な環境での撮影において圧倒的なシェアを誇っていました。

そんなカメラのダンディは、きっと鋼のような肉体と精神を持ったダンディでしょうね。

出てこい、冒険野郎ダンディ!

…あら、とんだ色男。

さすが、ダイビングスーツにシュノーケルと水中メガネ姿ではありますが、なんだかスマートな野郎じゃありませんか。

しかも、全然ウェット感がない。

というか、普通にカメラ構えてるし。水中ではそんなわけにはいかないですよね。

水中撮影はそんな簡単ではないようですよ。

さすがのニコンさんも、水中写真家の草分けであり、日本初のスキューバダイビング専門誌を創刊したことでも知られる、水中写真造形センターの舘石昭氏に資料提供してもらっているくらいですからね。

ほらほら、大変です。

水中には水中のルールやセオリーがあるのです。

撮影だけでも大変なのに、周りの状況やタンクの空気残量や水深やバディや危険生物やダイオウイカなどなど、あらゆることに気をまわさなければなりません。

このドライなダンディに、本当に水中撮影ができるのか?

ああ、撮影していますね。

偏見の目で見てごめんねごめんね~

…………。

…んん?

あれ、「写真提供:立石 昭氏」となっています。

まさか、このダンディが立石昭氏ではないですよね。

実際にダンディはどんな撮影してるのさ。

やっぱり普通に陸上で撮ってる。

陸サーファーならぬ、陸ダイバー。

そんな格好で海岸うろついて写真撮影してたら、いまだったら確実に通報&職務質問です。

クールな顔して、とんだダンディだ!