銀幕の小さな部屋 8巻目「キング・コング/髑髏島の巨神」

練馬区のパラダイス「豊島園」が閉園してしまいましたね。私も幼少期、様々なアトラクションで楽しんだ思い出があります。
その近くの映画館で4D(座席が揺れたり、水が出たり)で正にアトラクションの様な作品を鑑賞したのを思い出します。
2017年公開のキング・コング/髑髏島の巨神です。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

キング・コングはアメリカで作られた特撮映画です。元祖は1933年とかなり古く、東宝とタッグを組みゴジラとも共演してます。
今作はレジェンダリー・ピクチャーズが企画する「モンスターバース」シリーズとして製作されました。2014年のハリウッド版ゴジラでもおなじみですね。
監督はジョーダン・ヴォート=ロバーツ。
出演はトム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン等主要メンバーがマーベル・ファミリーで固められてます。

【あらすじ】
ベトナム戦争後半の1973年、地図に載っていない未知の島を見つけた組織モナーク。上層部を説得し、一個中隊を警護に付け元英軍の傭兵、カメラマンを率いて調査に向かうが、彼らが目にしたのは想像を絶する生物だった…

ポスターがなんとなく「川口浩探検隊」みたいで公開前から期待していた本作。序盤からワクワクさせてくれます。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

主人公(?)のトム・ヒドルストン。長身の細マッチョのタフガイです。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

こちらがカメラマン役のブリー・ラーソン。自分の暗室にいる様で色んなカメラが置かれてます。右側にあるのは1946年発売のアーガスC3(アメリカ)でしょうか?

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

出ました!今回、大活躍する旅の相棒ライカです。通称「メガネ」と呼ばれるアタッチメントを付けて、MCメーターが載ってますね。(セルフタイマーが倒れてる?)

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

被写体から目を離さず、レバーでフィルムを巻き上げます。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

ヘリコプターに乗って撮るって手ぶれ補正が付いて無い時代はどうしてたんでしょう。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

さすがは超一級品のライカ。丸みのあるボディは手に吸い付く様にフィットしますね。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

シルバークロームのボディ、巻き戻しがノブ式、巻き上げレバーにフィルムカウント目盛りが無いことから、説明不要の「レンジファインダーカメラの王様」ライカM3の様ですね。1954年に発売されたM型ライカの初代にして最高峰です。「景色にフレームが浮いて見える」と言われたファインダーはもはや伝説です。アンリ・カルティエ・ブレッソンや木村伊兵衛と言った世界的な写真家に愛されてきました。
レンズはズマロンのF3.5に、35mm枠が無いので、広角用のアタッチメントを付けてます。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

細かいカット割りですが、フィルム装填のシーン。M型になってから、フィルムの先端をカットしなくて済むのはかなり便利では無いでしょうか。
フィルムはコダックの「PLUS-X PAN」かも知れません。

1973年と言えば、35mm枠のあるM2、M4も出ている筈ですが彼女は何故M3をストイックに使い続けたのでしょうか。あくまで想像ですが、
・カメラマンになって最初に買ったカメラである。
・彼女の先輩(師匠)から譲り受けた
などとバックグラウンドを思い描いてみるとロマンを感じますね。
貼革を変えている様なので、やっぱり思い入れの強いカメラみたいですね。

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

もう一人のキャラクター、ランダの持っているカメラは距離計の形や、右手の辺りの出っ張りとかミノルタのハイマチック7かと思われますが…いかがでしょう?

映画「キング・コング/髑髏島の巨神」より

ハイマチック7は1963年の発売で、一眼距離連動式の完全EEカメラです。レンズ正面の上部にある丸いポッチの露出計があるのが特徴です。シャッタースピードは最速1/500でレンズはF1.8の明るいレンズが付いてます。
余談ですが、初代ハイマチックの輸出版「アンスコ・オートセット」は1962年宇宙旅行に使われ話題になった、正に世界的なカメラです。

おまけ
髑髏島に向かう直前の船で、ブリー・ラーソンの手に一瞬ライカでは無いカメラが写ります。

本当に一瞬、しかもワンシーンしか映らないので全く見えませんが一眼レフですね。シルバーのボディに黒いレンズ、何やら巻き戻しレバーの根元も黒い様子。
決定的なシーンは残念ながら見当たりませんでした…
しかし、広大なネットの海を散策していたら劇中のスチル写真を見つけまして、そこに「CANON AE-1プログラム」を構えている彼女を発見しました!
あれ、でも、AE-1プログラムて1981年発売…
もしや時空の歪みがあったのかも知れませんね。

とにかく、ライカM3が縦横無尽に活躍する映画。時には跳ね、時には泥にまみれ…それでも常に動き続けるライカの本分を楽しめる映画になっております。

世代を超えてもなお止まらぬ、ライカの魅力。
普段歩くことのない街歩きに、頼れる相棒を脇に冒険してみてはいかがでしょうか。