フィルムカメラを始めた方が、まずぶち当たってしまう壁が「露出がよく分からない」ということでは無いでしょうか。
すごく大雑把に言ってしまうと、露出とは写真の明るさ(光の量)のことです。
この明るさは
・シャッター速度(シャッターが開いている速度)
・絞り(光を通す穴の大きさ)
・フィルム感度(ISO感度)
の3つを調整することでバランスをとっていきます。
それぞれの関係ですが、
・シャッター速度=被写体の動きを止める時間
・絞り=被写体にピントを合わせる範囲
・ISO感度=被写体の明るさに対応
といった特性があります。
例えば…
①「日中ポートレートでボケを活かした写真を撮りたいから絞りを開けて撮ろう」
と思った場合。
明るい昼間に絞りを開けたまま撮ろうとすると、フィルムに光が当たりすぎて真っ白な写真(白飛び)になってしまう危険性があります。
また、
②「猫があくびしている瞬間を撮りたいから、シャッター速度を早くして撮ろう」
と思った場合。
絞り込んだまま(f値が大きいまま)シャッタースピードを速くして撮ろうとすると、今度はフィルムに当たる光が足りなさ過ぎて真っ黒な写真になってしまう可能性も出てきます。
①の場合は「絞りは開ける」と決めたので、シャッター速度を速くする・ISO感度の低いフィルムを使うという選択肢があります。
②の場合は「シャッタースピードを速くする」と決めたので、絞りを開ける・ISO感度の高いフィルムを使うという選択肢があります。
このちょうどいい明るさに調整された露出を適正露出と言います。
優先モードや露出計の搭載されているモデルは、カメラがある程度合わせてくれますが、露出計の無い機種は単体露出計を用意するか自分の体感で計測する必要が出てきます。
現代ではスマートフォンに露出計のアプリが登場したり外付け露出計を販売しているメーカーも複数あるので、お好みで選んでも大丈夫かと思います。
ただ、計測してから撮影するので1テンポ遅れてしまうときもあると思いますので、そこは要練習ですね。
もう一つの体感露出ですが、こちらは完全に経験値が必要になってくると思います。
ですが「この明るさの時は露出はこれくらいかな」といった感性をトライ&エラーで掴んでいくことになるので、自分の感覚をかなり鍛えることができますよ!
ひとつヒントとしては、皆さんが普段買っているフィルム。このパッケージに目安があるかもしれません。
例えば富士フイルムのスペリアプレミアム400。箱をはがすとシャッター速1/500に対しての絞り値目安が印刷されています。
こちらはコダックのカラープラス200。こちらにはかなり細かく露出のヒントが載っていますね!
個人の経験では富士フイルムは現行品のエクストラ400には感度目安が印刷されていなかったと記憶していますので、ご注意ください。
かつて、高名な写真家の方が記者から「どうやって露出を決めているのか」という質問に対し、
「簡単だ。フィルムの箱に書いてある」
と述べた逸話があります。
特にネガフィルムは露出補正の幅が広いので、少しの失敗でしたらカバーが可能です。
また、この経験はフィルム・デジタル問わずあらゆるカメラに応用ができます。
腕試し&自分磨きとしても一度試してみてはいかがでしょう?
【おまけ】
ちなみに、
カメラが決める露出を「標準露出」
撮影者が決める露出を「適正露出」
と言います。
カメラが決めた値が必ずしも撮影者の理想の写り(明るさ)とは限りません。
あなたの最適な「露出」を是非見つけてください。