“RICOH(リコー)”といえば「GR」というほどコンパクトカメラの代名詞ブランドになっていますね。
しかし、歴史を紐解くと二眼レフ「リコーフレックス」やハーフカメラ「オートハーフ」などユニークな機種を世に送り出してきました。
その中でも、今や日本中で広まった流行語「サンキュッパ」を生んだ一眼レフ「XR500」のご紹介です。
XR500は1978年にリコーから販売された一眼レフカメラです。
1年ほど前に登場した同社の一眼レフ「XR-1」の廉価版モデルで、同じ78年の「キヤノンA-1」がボディのみで¥83,000、「ニコンFE」がボディのみで¥69,000だったのに対し、XR500はレンズ付き(50㎜ f2)で¥39,800という驚異の価格設定でスマッシュヒットしました。
当時、このXR500のCMで使われた「サンキュッパ」のキャッチコピーは一大ムーブメントを起こし、現代においても「ニイキュッパ」「ヨンキュッパ」などの派生ワードが定着しています。
また用意された「XR リケノン50㎜ f2」レンズは富岡光学製の世代があり、後年になって「和製ズミクロン」の一つと再評価されています。
早速外観を見ていきましょう。
(今回、XRリケノンの在庫がなかったため、SMC-M 50㎜ f2を装着です…)
「ザ・一眼レフ!」然とした外観ですね。外装はプラスティックを多用していますが、内部はしっかりと金属製です。
上部も非常にオーソドックスな造形です。シャッター速はB、1/8~1/500。MF一眼レフの基礎を学ぶには必要十分かと。
左側は巻き戻しクランクとISO感度設定ダイヤルのみ。シンプル・イズ・ベストですね。
巻き上げレバーを少し起こすと赤点が出てきます。これが露出計ONの目印です。
(※ちなみに巻き上げレバーを畳んでしまうと、シャッターロックが掛かってしまいます!)
底部は電池蓋と巻き戻し解除ボタンのみ。スッキリしていて誤操作の心配は無さそうです。
レンズマウントは1975年に旭光学が開発したユニバーサルマウント“Kマウント”を採用。
ペンタックスカメラとレンズを共有できるシステムのため、レンズのバリエーションが2社分という膨大な選択肢に加え、M42マウントユーザーを見捨てなかったペンタックスは「M42アダプター」を販売。
実絞りになってしまいますが、オートタクマーはもちろんカールツァイスやフォクトレンダーなど往年の名玉も使用できてしまいます。
使用バッテリーはLR44(SR44)を2個使用。
さて、ここから試写の結果です。
フィルムはロモグラフィーのカラーネガフィルム100を使用。
先の通りPENTAXレンズを装着しました。
性能やいかに…
曇天で日陰の花を一枚。彩度は渋めですが、淡いピンク色がしっかりと再現出来ているように感じました。
正午の陽を浴びた和光。フィルムの特性にもよると思いますが全体的に暖色寄りの写りでした。
シャッター速に制約があるものの、ISO100でも夜を撮影できました。ランプの灯りがどことなくノスタルジックに表現できました。
超広角レンズにて夜の銀座のど真ん中をパシャリ。強い光源がフレアっぽくなっていますが、全体としては中々エッジの効いた1枚になったかと思います。
【まとめ】
安価な価格帯の一眼レフではありますが、非常にしっかり扱えるザ・実用カメラ!でした。
一見選択肢が少ないように思えたシャッター速も、「手ブレをしにくい範囲」に固められて個人的には特に窮屈には感じなかったです。
後年のモデルや上位機種に比べるとややファインダーが暗く感じられるかもしれませんが、ピントを合わせるには必要十分な見え方と思いました。
また、今回はレトロな色調になりやすいロモグラフィのフィルムを使用したので、他社製のフィルムを使うと一味違った写りになると思いますので再トライしたいですね。
現在では露出計が動作しない個体がジャンク箱に座っていたりしますが、そこはメカニカル機。
シャッターさえきちんと作動すれば、まだ一眼レフの灯は燃え続けていることでしょう。
1975年から始まったKマウントの旅は、ペンタックスとリコーが1つになった現代のデジタル一眼レフ界
誕生から約50年、ペンタックスの紡いだ歴史の糸を貴方も手繰り寄せてみてはいかがでしょう?