【初心者向け】これからフィルムカメラを始める方へ ~少し注意なフィルム編~

フィルムカメラユーザーになってしばらくすると、「いつもと違う色味のフィルムを使ってみたいな」とか「あのフィルムはどんな写りをするんだろう」
といった興味が出てくる方も多くいらっしゃるかと思います。

しかし、フィルムの種類によっては要注意と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、ちょっと特殊なフィルムが存在します。
納期が掛かる&特別料金なら現像を受けてもらえるぶん有り難い方で、中には最悪の場合現像を受け付けてもらえないケースもあるのでご注意ください。

ここから特殊なフィルムの一例を見ていきます。
(お店の備品で掲載出来そうなフィルムは可能な限り載せています)

・127フィルム
こちらはベビーローライなどに使われるロールフィルム。いわゆる「ベスト判」と言われることもあります。
ベスト判対応の二眼レフを使うと4×4サイズのましかく写真が撮影できます。
フィルムは北海道の超有名フィルム屋さんが販売してくださっているので、まだまだ撮影は楽しめそうです。
現像は大手家電量販店さんなどでも受け付けてくれるようですが、スキャニング&データ転送に対応してないお店が多く、プリント仕上げは手焼きしか対応できない可能性があります。

左が120フィルム、右が127フィルム(ベスト判)です。小ぶりなのが分かります。

・ミノックスフィルム
超小型ボディで今でも愛好者の多いミノックス。
そんなカメラに使うのもこれまた小さくて可愛らしいフィルムです。
ですがフィルムはすでに製造終了してしまい入手できないものとなっています。
そのためユーザーの方は自作でフィルムを切り、カートリッジに詰め使用されているのだとか。

左は正規MINOXのフィルムケース、右は互換性のあるアクメルフィルム(浅沼商会)

・APSフィルム
アドヴァンスド・フォト・システムの略称です。
一般的なフィルムカメラ&フィルムと結構間違えやすいのでご注意ください。
1996~2012年まで流通していたカートリッジタイプのフィルムで、これを使うカメラは外観こそコンパクトカメラとあまり変わりませんが、使用フィルムは専用規格のため一般的な35㎜フィルムとの互換性はありません
ピラミッドのような△マークが目印です。

左が35㎜フィルム、右がAPSフィルムです。フィルムの先端が露出していなく、上から見るとひし形の形状をしています。
一見普通のフィルムカメラです。(当たり前ですが…)
APSカメラにはこのマークが付いています。

・ECN-2現像フィルム
最近ネットでもちらほら見かけるタイプのフィルムで、一番注意が必要なものです。
これは映画用フィルムそのものの現像方式で、以前は映画製作の現像所でも受け付けていたようですが、現在ほとんどのお店さんは受け付けていない様です。
国内で現像可能なお店は非常に少なく、現像代も高価になる可能性があります。
個人ラボさんや自家現像をされる方向けになってしまうかもしれません。
主に「Vision 3」「250D」などの表記があるフィルム、一般的な「C-41」と「ECN-2」が併記されている場合も街の現像屋さんが受けてくださらない可能性もあります。

知らずに買ってしまうと、かなり苦労してしまうかもしれません。

・プラスティックパトローネ仕様フィルム
こちらは現像が受けられないということではなく、外注扱いになりやすいフィルムです。
一般的な現像の機械はプラスティック製のパトローネに対応しておらず、プラスティック製のものは外部にお願いするようです。(近年はプラ製パトローネを採用しているフィルムメーカーさんも増えてきてるとか)
ただし先述の現像方式が併記のフィルムや、極端に撮影枚数が少ない表記の場合は販売者個人でフィルムを装填して販売しているケースもあるようで、その場合には殊更引き受けてくれるかは難しいところがあります。

プラ製パトローネ。実物を見るとプラモデルのように組み立て式であるのが分かります。

・110フィルム
こちらは横長なカートリッジで、かつてはKodakやフジフイルムも製造していました。
現在、ほとんどのメーカーが製造終了してしまっていますが、ロモグラフィーさんが継続して製造してくれています。
「PENTAX 110」や「LOMOMATIC110」など小型なカメラで使用します。
現像受け付けしてくれるお店はまだあるようですが、納期が少しかかるみたいですね。

上から見るとメガネのようなカートリッジにフィルムが入っています。

(おまけ)

・220フィルム
120フィルムの裏紙を使用しないことでフィルム量を増やし、倍数のコマを撮影することが出来ます。
こちらも現在ほとんど販売されていないフィルムです(2025年3月現在入手できる新品フィルムは海外製のモノクロネガのみみたいです)。
「120フィルム専用」のカメラには対応していないので注意です。
ですが、120と220の切り替え付、もしくは220フィルム対応のフィルムマガジンがあれば撮影をすることが出来ます。
性質としては120フィルムと変わらないので、現像受け付けしてくれるお店は少なくないと思います。

見た目は120フィルムに非常に似ています。
220フィルム(上)と120フィルム(下)。120フィルムでは裏紙が付いてますが、220フィルムはダイレクトにフィルムが続いています。

以上、おおまかに特殊なフィルムをお伝えしました。
基本的に「現像屋さんは出所の不明なフィルムは現像を受けない」と思っていただいた方がいいかもしれません。
(現像液が痛んだり、現像機の故障につながることも…)
また、パッと見でお手持ちのカメラに使えるのか分かりづらいタイプのフィルムもあるため、気になったら購入前に店員さんに聞いてみるのもいいかと思います。
せっかく買ったのに使用(現像)できない…!ということが無きようご注意くださいませ。

カラーフィルムの場合は「C-41」「CN-16」表記のものが一般的で安心ですね。