2009年生まれのフラッグシップミラーレス一眼「LUMIX DMC-GH1」

デジタルカメラ業界も、一眼レフからミラーレスにどんどん世代交代してきている感がありますね。
一眼レフに比べ小型軽量になる位置づけのミラーレス一眼もハイグレードな機能を搭載していくに従い「あれ、あんまり重さ変わらない…?」となりやすいかもしれません。
とくに令和のレンズ交換式カメラは「フルサイズフォーマット規格」に重点が置かれているのは否定しきれないところでもあります。

バリバリの最新機能でなくていいから、気軽に持ち歩けるお散歩カメラが欲しいなあ…というときにいつも思い出すのがパナソニックが2009年に発売した「LUMIX DMC-GH1」(以下、GH1)です。

そもそも世界初のミラーレス一眼を発売したのもパナソニック(2008年のLUMIX DMC-G1)。
一眼レフ時代から続いている「フォーサーズフォーマット」と同サイズのセンサー「マイクロフォーサーズ」規格を採用。システム自体の軽量小型化に成功しながら、コンパクトデジカメのセンサーによる写りとは一線を画す高画質で瞬く間に支持層を拡大していきました。

さてこのGH1、規格はマイクロフォーサーズですが、実際は少し大きなセンサーを採用しており、撮影比率の変更(例えば、3:2や1:1)を行ってもトリミングされずにそのままの画質が維持できる「マルチフォーマット」が採用されています。以降のモデルにはほとんど搭載されていないことから貴重な機種です。
また、動画撮影機能付き一眼として初の「撮影中フルタイムAF」が搭載された機種としても知られており、このGH1がいかに革新的技術を盛り込んだカメラであるか、お分かりになるかと思います。

次に外観を見ていきましょう。

ザ・一眼!といった趣のデザインですが流線形で手にやさしく馴染む感じがします。レンズ交換出来ない高倍率ズームコンパクトカメラ“ネオ一眼”に近いかもしれません。
外装は樹脂のようですがコーティング処理されており、思ったより滑りづらく感じました
軍艦部。世界初ミラーレス誕生から1年しか経っていませんが、すでにかなりの完成されたシステムだったと思います。

以前の「GF1」の記事でも述べましたが、この頃は「いかにフィルムの写りに近づくか」をスローガンに掲げているメーカーさんが多かったように感じます。

SDカードスロットは底部のバッテリーとは別室で側面にあります。三脚ユーザーには有り難いですね。

まだ固定式やチルトモニターが大半だった中、すでにバリアングルモニターを採用しているのに驚きです。

焦点距離の近いレンズを組んだニコンの一眼レフと比較。ここまでサイズが違うことに今更ながら驚愕です。

さて、今回はキットにもなった「G VARIO 14-45/3.5-5.6 ASPH.」を使用しました。
軽快な操作が魅力の標準ズームレンズ。
令和の時代をどう切り取ってくれるのでしょうか。
JPEGのISO200固定、絞り優先モードで撮影しました。
※ブログ掲載用にリサイズしています。

M4/3センサーですが、望遠域で控えめながらボケを作ることが出来ました。
明暗の激しい条件でもこれくらいなら造作もなく仕上げてくれます。
右側の紙垂(しで)が少しハイキー気味ですが、全体の色味の再現性には改めて驚かされます。
黄色い花もさることながら、周囲の葉の解像力も非常に優れている様に感じます。

【まとめ】
非常に軽快に動ける一眼カメラでした。
登場したばかりのEVFは慣れれば違和感がありませんがお世辞にも見やすいとは言いづらく、特にモノクロモードで覗いていた時に何となく“RGB”がチラつくように感じる時もありました。
ですが機動力は文句なく、SDカードから吸い出した画像は過度なトリミング等行わなければPCモニターでも不足なく見ることが出来るように感じました。
今回使用した“G VARIO 14-45㎜”レンズも使いやすく、日常の光景を収めるのに不自由なく撮影することが出来ました。
一般的に“センサーの小さなカメラはボカしにくい”と言われますが、f値の明るいレンズや被写体に接近することでボケ自体は作れたりしますし、あまりボケの必要ない写真では特に被写界深度の深さを活かした写真を撮りたい場合に真価を発揮するフォーマットだなと感じました。
バリアングルモニターによるハイ&ローアングルも文句なく楽しめました。

一部発色の再現性が不安定な色もありましたが、時代の名残だな…と楽しめる方には納得できる範囲では無いでしょうか。
その他、SDカードが32GBまでしか対応していなかったり、動画がAVCHDのみの対応だったりと当時ならではの制約がありますが、
ふと気軽なお出かけに気負わずに持ち出せる魅力が詰まった一台でした。

【おまけ】
おなじく入門レンズの“G VARIO 45-150㎜”にて撮影しました。
望遠ズームとは思えない小ささで、混み合っているシチュエーションでも周囲の迷惑になりづらかったのが精神衛生的にも楽でした。
スマートフォンにはまだまだ負けんぞい!」と優しく肩を叩かれた気がしたカメラでした。

LUMIX GH1&G VARIO 45-150㎜, 望遠端150㎜(35mm換算300㎜)にて撮影