敷居の高いM型ライカと少し違い、比較的お手頃に楽しめるバルナック型ライカ。
各種お作法がありますが、一度使ってしまえばすんなり理解出来ちゃったりもします。(個人差あり)
今回はそんなバルナックライカに加え、これまたお手頃に入手できるバルナックユーザー様お馴染みの標準レンズ「ズミタール 5㎝ f2」のご紹介です。
ライカのレンズといえば大傑作の「エルマー」や「ズミクロン」といった銘レンズなど、50mm域を基準に幅広いバリエーションを展開していきました。
バルナック型ライカは50mmのフレームに対応したファインダーが標準搭載されているので、標準レンズ1本あればすぐ撮影を始められます。(※もちろん各焦点距離も付けられますが、外付けファインダーの追加を推奨します!)
今回のズミタールは1933年のf2レンズ「ズマール 5㎝ f2」の後継モデルとして1939年にデビューしました。
その後標準f2レンズの完成形「ズミクロン5㎝ f2」が1953年に誕生する前後まで長きに渡って製造されます。(製造年数は諸説ある様です。)
その特徴としては…「至って普通」ということでしょうか。
いわゆる「クセ玉」の長兄ズマール、空気レンズの圧倒的描写力の三男ズミクロンに比べ、いささか地味な印象を受けやすいズミタール。
しかし、誤解してほしくないのは…この「普通」は“ライカレンズにとっての普通”。
一度仕上がりを見ると、普通の基準を上げざるを得ない程のポテンシャルが含まれています。
ここからは外観を見ていきましょう。
バルナック型ライカIIIfに装着しています。

エルマーと同じく、まさにバルナックライカに収まるために製造されたフィット感です。レンズ構成は4群7枚。

開放f値2にふさわしい大口径です。フィルターネジが奥まったところにあるため、特殊デザインのフィルターに対応しています。

今回の個体は距離指標が嬉しいメートル表示。目測撮影が比較的やりやすい有り難い仕様でした。

美しい円形の絞り。製造年によっては「円形絞り・コーティング無」「角絞り・コーティング有」などありますが、今回のレンズは「円形絞り・コーティング有」と正に良いトコ取りの一本でした。

絞り輪はレンズ前側の首周りに付いていて快適な操作が楽しめます。
が、絞りはクリックの無い無段階方式の為、ちょっと触ると絞り値がすぐ動いちゃいそうで心配でした。

また、このレンズは沈胴式の為…

使わない時はここまで畳んでしまえます!(このまま撮影するとピンボケなので注意!)

こちらがバルナックのファインダー。2つある窓の内、左がピント合わせ用で右が構図用の窓になっています。
二重像合わせ用の窓は倍率が高いので、思ったより高精度な合焦が可能になっています。
さて、ここから試写結果です。
フィルムはフジハイスピード400を使用。
ライツの“普通レンズ”の切れ味はいかに。
※ブログ用に画像はリサイズしています。

鉄柱のサビや壁の肉眼で見たような質感に驚いた一枚でした。ポールの前ボケも自然に表現されていますね。

薄暗い室内でも透き通る様な描写です。解像感も申し分なく感じられます。

曇り天気の為絞りを開けて一枚。すると左側が少し流れたような写りになりました。レンズ不良による片ボケではなさそうなので、構図次第で解決するでしょうか…

ショーケースのガラス一枚隔てているとは思えない質感です。金や朱の美しさが際立った一枚です。

ハイキーな部分がソフトに演出され柔らかい雰囲気に。

開放f2にて。開けて撮っても不安のない優秀なスペックに感じられます。

陽の当たる雲や微かに反射するビル群が美しく見えたので一枚。アンダー目なのが空の情景に一役買ってくれました。
【まとめ】
ライカレンズの中では一際安価なレンズですが、ポテンシャルを十分に楽しめる一本でした。
沈胴式というのもf2レンズとしては軽量な仕上がりに貢献しているのかもしれませんね。
ただしかなり深く沈むので、ミラーレスなどでお使いの場合は沈胴させない様に注意が必要そうです。
また、開放付近ではお兄さんのズマール程では無いにしろ暴れる傾向があるのかな、と思いました。(個体差?)
この後誕生するズミクロンにも決して大差の付かないほど楽しめる1本でした。
バルナック型はもちろん、M型ライカにLMリングを付けても楽しめるレンズです。
