1934年に発売された初代レチナ(#117)から始まるレチナシリーズといえば、ドイツ・コダックの代表作であり、カメラ史に残る傑作シリーズといっても過言ではないでしょう。
その中でも、1958年に発売されたこの「レチナⅢC」は、蛇腹のあるフォールディングタイプのレチナの最終機となります。その距離計窓の大きさから「大窓」や「ビッグアイ」と呼ばれる事もあります。
ひと昔前と比べ最近は、あまり注目されることがなくなってしまいましたが、触ると、改めてその作りの良さに感心してしまいます。
そんなレチナⅢCのエモいポイントはここ!
レンズボードは閉じてしまいます。
この手のフォールディングカメラのほとんどは、レンズボートを閉じる時に必ず距離計環を無限遠に合わせることが鉄則です。
そして、裏へ。
裏蓋を開けてしまいます。
このカメラ、裏蓋を開ける機構も素敵なポイントのですが、ここでは飛ばします。
ここ。フィルムガイドに沿って並ぶ、半円形の…何でしょうか、これ。
かまぼこ?
このかまぼこは、ⅢCだけでなく、レチナの他の型にもあります。
この部分に何かの機能があるのか、何かの指標となるのか、ただの装飾なのか、はっきりとは分かりません。
存在理由なきものが、普段はフィルム室というブラックボックスの中にいます。
そして、裏蓋を開けると、こいつが囁くのです。
「こんにちは!」と。「フィルムを入れてくれるの?ありがとう!」と。
勝手な妄想だ、と言われれば、それまでです。
が、レチナⅢCのエモいポイントは、この4つのかまぼこ。
異論は認めます。