細々と続けていたblog銀幕の小さな部屋も気が付いたら前回の記事から1年以上が経ってしまっていました…。
今回は2016年公開の日本映画「夏美のホタル」のご紹介です。
【あらすじ】
写真学校に通う学生、夏美。将来の夢と恋人の進路との相違に悩んでしまい、
自分を見つめなおすため、父の形見のバイクを駆り思い出の地に向かう。
ひょんなことから現地にある商店を営む親子に出会い、居候させてもらうが…。
主演は同年大ヒット作「ビリギャル」も公開され、ノリにノッている若手女優の有村架純さんが務め、共演にベテラン俳優の光石研さんや小林薫さんが脇を固めます。
監督は「ヴァイブレータ」「さよなら歌舞伎町」の廣木隆一監督。
映画化に当たって主人公の変更があったようで、原作では写真学生の男性が主役だったのに対し、映画では恋人でもある幼稚園教諭の女性が写真学生の主人公に設定が変わっています。
主人公、夏美役の有村架純さん。いまやテレビや映画に引っ張りだこの女優さんですね。
恵三役、通称「地蔵さん」の光石研さん。事故で体が不自由になってしまった心優しい店主役を好演しています。
ぶっきらぼうな仏師、雲月役にこれまた大ベテランの小林薫さん。不愛想ですが義を重んじる男を存在感たっぷりに演じています。
さて、そんな夏美の使用するカメラをご紹介です。
川沿いの撮り歩く夏美。黒い一眼レフを握りしめておりますね。
ニコンのロゴが確認できました!ニコン初の電子シャッター式フラッグシップ一眼レフカメラ「Nikon F3」ですね。
メガネを掛けたユーザーでもファインダー内を見やすくした「ニコンF3 HP」を使っているようです。
ニコンF3は1980年に発売されました。大衆向けモデルとしてはすでに「ニコマートEL」や「ニコンFE」などの電子シャッター(絞り優先)機が登場していましたが、「プロ機はどんな時でも作動する機械式マニュアルカメラ」という風潮の中、プロが信頼して扱える堅牢な電子カメラとして生み出されました。
その結果は登場から約20年間販売され、今現在でも中古のカメラボディが探し求められていることからも明らかですね。
1982年には上述のHP(ハイアイポイント)ファインダーを搭載した「F3HP」が登場。2000年にF3が製造中止になるまで販売されました。
使用レンズは…画面が荒くてハッキリと視認できませんでしたが、白いリムで1.4の表記が確認できたのでAuto Nikkor 50/1.4ではないかと思います。
1962年に販売された日本光学を代表するレンズです。
露出計連動爪が細く尖り、穴が開いていないことから非Ai方式の当時モノをご使用のようですね。
F3自体はAiレンズを使用することで絞り優先モードが使用できるカメラですが、夏美さんは連動レバーを跳ね上げて完全マニュアル操作で撮影していたということかと…さすが写真学生!
お店のカメラとレンズで“夏美セット”を再現してみました。ジウジアーロ氏デザインの造形美がこれでもか!と堪能できるカメラですね。
(※画像のレンズはAi改造品の為、絞り優先にも対応しています。)
【まとめ】
若者の葛藤と覚悟を丁寧に描いた非常に瑞々しい青春映画でした。
自分が将来を決める分岐点に立った時に何を選ぶのか。大人と子供の間で悩み苦しむシーンではかつての自分と重ねてしまいました。
また、若い主人公たちを見守る周りの大人たちも温かくてみていてほっこりしました。
決して賑やかな映画ではありませんが、家族の大切さ、人のつながり、子に対する親の気持ちなどがじっくりと物語に編み込まれ、心地よい余韻が残る映画でした。
カメラファン的には「ん?手持ちで1/2?」みたいな所もありますが、おそらくニコンF3本物のシャッター音を録音しているようです。
本編も108分とそれほど長尺では無いので、ご興味ある方はぜひ。
【おまけ】
夏美の彼氏、慎吾役の工藤阿須加さん。彼も写真学生らしく一眼レフを使用しています。フィルムカメラの夏美と違い、ニコンのデジタル一眼を使っていますね。左肩がモードダイヤルなのとペンタ部のデザインやストラップ金具の位置、おそらく2015年発売の「ニコンD7200」かな~と…。
レンズがズームリングの形的に「AF-S DX 18-140」のようにも見えるのですが…。
出典:夏美のホタル(2016年)
監督:廣木隆一
出演:有村架純、工藤阿須加、光石研、小林薫…他
【ニコン関連商品】
・ニコン F3P MD-4、MK-1付 (A1788)
・ニコン F3/T ブラック (A2095)
・ニコン F アイレベル シルバー (K0573)
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・ニコン S Auto 55/1.2 (A1727)