半世紀以上にわたって採用されたニコン“Fマウント”はマニュアルフォーカスレンズから電子制御のAFレンズまで長い歴史をフォトグラファーと共に活躍してきました。
そんな時代の流れを見つめてきたニッコールレンズを一番気軽に楽しめるのがニコン製デジタル一眼レフです。
同社製ミラーレス一眼でZマウントを採用するまで続いたFマウントは、少しづつ改良を加えられたことにより、
・旧世代カメラに最新AFレンズが使えない場合がある
・Ai化されていないレンズの場合、対応しているカメラが限定されている
などといった多少の制約はあれど、最新の一眼レフにフィルム時代の純正レンズを使用することが出来ます。
現行のモデルや前世代の機種でもMFニッコールを楽しみやすい環境が整ってます。
ここから今回のレンズの特徴を見ていきましょう。
1959年6月に販売されたAuto Nikkor 50㎜ f2
というレンズで、日本光学を代表する一眼レフカメラ「Nikon F」と同時に生まれました。
初期のAuto Nikkor 50/2は1枚レンズの枚数が多い5群7枚構成でしたが、技術の進歩により4群6枚構成に変わりました。今回の個体は後年の4群6枚バージョンの世代です。
間の壮大なヒストリーはかなり割愛しますが、
1977年に快適な露出計連動機構を内蔵したモデル「Nikon FM」が販売されます。
この時に採用された機構が俗にいう「Aiレンズ」で、以降のMFレンズは基本的にAiレンズが主流になりました。
しかし前世代のユーザーを見捨てないのがニコン。Ai機構に非対応の世代だった「Auto」「New」のニッコールレンズに互換性を持たせるため、メーカーが純正で“Aiカスタマイズ”してくれたのです。
おかげで後世のデジタル一眼レフ機でも初期のFマウントニッコールレンズを楽しめるようになりました。
そんなオートニッコール50mm f2の外観を見ていきましょう。
今回はフルサイズデジタル一眼レフ“D750”に装着しました。

実に渋いデザインです。D750に装着しても不思議と馴染んでいます。同社製の代表的標準レンズ“50㎜ f1.4”や、“5.8㎝ f1.4”に比べ小型・軽量に造られていて、取り回しもとてもGOODです。

ニコンが正式に次世代機に対応出来るようにカスタマイズした、いわゆる「Ai改」モデルです。
絞り輪下に突起が付いているのと、“カニ爪”に空洞があるのが特徴ですね。
なので、Ai連動レバーが搭載されているニコンF3やD750などでも露出計連動してくれる非常に便利なレンズです。

正面の“Nippon Kogaku”銘にやはり惹かれるものを感じます。

本来の年代に合わせてニコンFに装着してみました。(額のFの字が飛んじゃった…!)
ここからは実際に撮影結果の掲載です。
絞り優先オートのJPEG、掲載用にリサイズしています。

太陽に照らされたシートの革や金属の車体をシャープに捉えてくれました。

ビル群の力強い描写はもちろん、日陰になっている暗部もかなり残ってくれています。

開放にて。やや二線ボケが目立つシチュエーションですが、構図次第ではそこまで気にならなくなると思います。

歴史を感じる提灯や木組みの質感が情緒たっぷりに表現されているかと思います。

f5.6程に絞っていますが、手前のかすかなボケが立体感を生んでくれている様に感じます。

夜の裏路地を開放で。f2ということもありボケ感はおとなしいですが、全体的に優しい雰囲気で収めました。

お店のライトに照らされたバイクの光沢がしっかりと表現出来ていますね。(一部加工してあります)
【まとめ】
標準域の単焦点として、とても扱いやすいレンズでした。
ローレットもゴム巻きに劣らず使いやすく、クラシックレンズの味わいを堪能できる逸品でした。
現代では開放f値はそこまで明るくなく感じるかもしれませんが、無理のない構成のため開放から破綻の少ない良質な描写を楽しめる1本に感じました。
オールドレンズらしく構図によっては2線ボケも見られましたが、背景処理の大切さを教えてくれた気がしました。
現代の隅々まで整った描写とは一味違う質感をお求めの方にいかがでしょうか?
フィルム一眼にはもちろん、デジタル一眼レフでも両用されたい方は是非「Ai化」レンズを探してみましょう。
※D3000番台や5000番台、D7500などのAi連動レバーが搭載されてないモデルはMFレンズを装着した際はMモードしか連動しないのでご注意ください!

先人たちが脈々と紡いできた技術を丁寧に継いでいきたいですね。
