銀幕の小さな部屋 3巻目「ターミネーター2」

今から36年前の1984年、一本の映画が産声を上げました。当時640万ドルの低予算で製作され、一般的にはB級ホラーのジャンルに属されるその作品は、公開されるとその斬新なストーリー展開やアクション、なにより主人公を無表情で執拗に追いかけてくる人型マシンを演じた青年俳優が話題になり、制作費の十数倍にも迫る大ヒットとなりました。

ボディビルで鍛えた肉体を遺憾なく発揮し、無口な殺人マシーンを演じた青年「アーノルド・シュワルツェネッガー」を一躍世に知らしめた、SF映画「ターミネーター」は、現在でも観る人の目に焼き付く程の魅力に溢れた作品となっています。

その後ジェームズ・キャメロンの手を離れ、皮肉にも作品のテーマ“未来は変えられる”を体現しながらも伝説的シリーズとして展開(迷走?)されていきます。

今回はその中でも計り知れない名シーン・名台詞を生み出した「ターミネーター2」(1991年)からスナップしたいと思います。

【あらすじ】突如襲来した殺人マシン“ターミネーター”から、何とか生き延びたサラ・コナーだが、周囲から妄想だと判断され、精神病院に隔離されてしまう。将来レジスタンスのリーダーとなる運命の息子ジョンにも合わせてもらえない日々を送っていたが、運命をあざ笑うかのように、新たなターミネーターが転送されてくる…。

映画「ターミネーター2」より引用

ターミネーター同士の初顔合わせ。このバトルシーンの最中に、カメラが登場します。

映画「ターミネーター2」より引用

今回のカメラはストラップのロゴからも確認できるように、ペンタックスのAF一眼のようですね。またペンタ部が平べったく台座のようになっていて、かなり特徴的です。映画自体の製作年から推測すると「PENTAX SFX」から始まる「SFシリーズ」の可能性が高そうです。

「PENTAX SFX」は1987年、旭光学によって製作されました。電子制御式シャッターで速度はB、30〜1/2000秒。KマウントなのでAFレンズだけでなく従来のKマウントMFレンズも使うことが出来ます。露出モードも「プログラム」「絞り優先」「シャッター速度優先」「マニュアル」と十分な機能を装備してます。また、ペンタ部に配置された液晶パネルは大型で見やすく、ボタン周りも数は多めですがスペースに余裕があり操作しやすくなっています。

ちなみに、廉価モデルの「SF7」は88年9月、ペンタックスカメラ初のシャッター速度1/4000を搭載した「SFXn」は88年11月に登場しました。画像を見る限りはグリップの近くに丸いランプが無いので、恐らくSF7かSFXnかとは思うのですが…。キャメロン監督に是非とも答えを聞きたいところですね。

映画「ターミネーター2」より引用

この方も、ノーファインダーで連写しまくっております。AF一眼の恩恵を巧く生かした演出ですね。突然のハプニングにも無意識にカメラを向けシャッターを切る。決定的瞬間を収めたスナップ写真の名作は、こんなふとした時に生まれるのかも知れません。

出典:「ターミネーター2」 1991年

監督:ジェームズ・キャメロン

出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、エドワード・ファーロング、ロバート・パトリック