瞬きミラー!レンズシャッター一眼レフ「トプコン ウインクミラーE」

「交換レンズはいらない。標準レンズ1本でいい。出来るだけ小さく扱える一眼レフが欲しい。」
そんな贅沢なあなたにレンズシャッター一眼レフ「トプコン ウインクミラーE」という選択肢もあります。

ウインクミラーEは、1960年にレンズシャッター一眼としては初のクイックリターン式を採用した「ウインクミラー」をベースに1961年に発表されました。
セレン光露出計、レンズ自体にUV対応を施すなど一歩抜きんでた仕様となっていました。
「ウインクミラー」とは、瞬時にミラーが上下する動作(クイック・リターン・ミラー)を“ウインク”に例えて付けられたネーミングのようですね。
とってもキュートでオシャレです。

一眼レフといえばレンズ交換できてあらゆるシチュエーションに対応できる万能システムカメラのイメージがありますが、今回のウインクミラーEはレンズ交換はできないタイプで、広角または望遠のコンバージョンレンズで対応させます。
この後1963年に前群レンズを交換できる機種「ウィンクミラーS」が誕生します。
こちらのカメラにはトプコール28mm~200mmの各交換レンズが用意されており、写りの良さに定評があります。

さて、今回のウインクミラーEの外観から見てまいりましょう。

精工舎(現セイコー)の新設計により、セレン光式露出計と連動したシャッターを組み込んだことで追針式で確認できるようになっています。

また、このモデルには新開発レンズ「UVトプコール」が搭載されています。
これはレンズの張り合わせ材にUV効果のある素材を使用し、結果UVフィルターが不要になるという画期的なものでした。
また、UVトプコール48/2と日常を撮影するのに使いやすい焦点距離になっています。
ちなみにレンズ構成は4群6枚で、この構成で48mmという画角は珍しいそうです。

シャッター速はレンズシャッター機の王道のB.~1/500。速度表記も現代的な数値です。
絞りとシャッター速が連動するライトバリュー式なので、慣れないと若干戸惑うかもしれません。

フィルム室の開閉は、少し珍しい2段階方式です。

底部のレバーを“L”から“O”へ。
その次にボタンを押下するとフィルム室が開きます。フィルム装填後は再び“L”に戻すのを忘れないように注意しましょう。

本体左側にフォーカスレバーが付いていて,

反対側の側面に距離指標があります。
正面にはPEN EEシリーズなどでおなじみのセレン光露出計が堂々と装備されています。もし露出計が機能しなくてもカメラ自体は機械式のため作動します。
おでこには“TOKO”のロゴマークが。プリモフレックスでも見られるトレードマークです。

露出計が搭載されているためか小型なのにずっしりとした重量。大衆機といえど、金属製カメラの風格が漂います。

こちらの個体は露出計が故障しているので、今回の試写では体感露出とスマホアプリを駆使します!

camera: TOPCON WINK MIRROR E
film: ILFORD XP2 SUPER 400

非常にヌケの良い描写です。

 壁画の質感など再現性も優れていると思います。

後ボケの様子。二線ボケもぐるぐるボケも見られない、比較的素直なボケではないでしょうか。

続いてカラーフィルムでの試写結果です。
film: FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400 (27EX)

トプコンの特徴でもある“赤の発色”が際立つ描写になりました。
シャープネスも非常に良好です。幌の反射など、まだまだデジタルに負けてないと思うのですがいかがでしょう?
絞りを浅くすると周辺が少し甘くなります。オールドレンズならではの味に仕上がりました。
遊び心でクローズアップフィルターを付けてみました。こんなに寄れるのも一眼レフならではの醍醐味ではないかと。
こちらも遊び心のソフトフィルター。何気ない裏路地が幻想的な雰囲気に。


【まとめ】
レンズシャッター機ではありますが一眼レフのため、ミラーショックと思ったよりも「パコっ!」という音が響くのでここは好みが分かれるところかなとは思いました。
またファインダーが少々暗めに見えるので、苦手に感じる方はいるかと思います。 (担当個人としては決して見づらいとは思わなかったですが…)
大衆向けの普及機ですが、一眼レフの持つ「正確に画角を確認できる」というメリットを十分発揮できるカメラでした。

内部機構が他機種より少々デリケートな構造ではありますが、ハッと思わせてくれる写りを見せてくれるでしょう。
最近では調子の良い個体をあまりお見掛けしないこのカメラ、整備済みの本機を見かけたら試す価値はあるかも知れません。
愛くるしい小型一眼と決定的な瞬間に「ウインク」してみませんか?