“路上の伝説”のご先祖様!「Ricoh R1」

ストリートスナップに特化したカメラというと、必ず耳にするのは名機「GR」シリーズです。
このGRシリーズ、今現在もデジタルシリーズが第一線で活躍しているのを見ると、いかに世代を超えて熱狂的に支持されているカメラかは想像に難くありません。
そのGRの前身モデルがあることはご存じでしょうか?

彼の名は「Ricoh R1」。
1994年に産まれたこのカメラはカメラ本体の厚みを当時不可能とされてきた前人未到の25mmに抑えた驚くべきスリム化を実現しました。
グリップこそフィルムを詰めた太さがありますが、ボディ全体は非常にほっそりしており、既存のコンパクトカメラにないスタイリッシュなデザインは世界を驚愕させました。

このカメラをよりブラッシュアップさせて1995年に「R1s」が登場し、1996年に伝説のコンパクトカメラ「GR1」が発売されます。
シャツのポケットにも入る機動性、目の前を切り抜く28mm広角レンズ、瞬時に反応できる高速電源…
まさにスナップのために作られたGR1は世界を席巻しました。

そんなGRのベースとなったR1、はたしてどんなカメラなのか…
さっそく外見から見てまいりましょう。

この個体はグレイッシュグリーンといわれるカラー。深みのある緑のボディがシブいです。
背面もとてもシンプル。ノーマル(30mm)・パノラマ(30mm)・ワイドパノラマ(24mm f8固定)切替レバーと電源のみです。

このカメラ、起動が非常に早くそして静かです。電源ボタンを押すとあっという間にスタンバイ状態になっています!フラッシュチャージも待つストレスはかなり少なく感じました。

レンズはリコーレンズ30/3.5。マクロにも対応しています。
上部から。モードとフラッシュ切替ボタンがあります。電源オフ時にリセットされてしまうので、注意が必要。

パトローネの格納部分である右側はすこし膨らんでいますが、却ってグリップしやすさにつながっています。

末っ子GR21と2ショット。R1の時点でいかに完成されたコンセプトかが分かります。

では試写結果です。
今回は標準30mmで撮影しました。
フィルムは富士フイルム X-TRA400です。

とてもシャープです。フィルムの特性か少しアッサリ気味ですが、提灯の赤が鮮やかに出ています。
細道の竹垣。粒子と夕暮れ時も合わさって非常に情緒あふれる描写になりました。
光加減に引っ張られず、見たままに近い露出になったかと思います。
フラッシュ禁止モードで1枚。暗所でしたがこれくらいの光量があれば手ブレせず写せました。
おまけの一枚。入射光のせいか感光してしまいました。フィルム感は抜群ですが、フィルム確認窓からでしょうか…

【まとめ】
軽量コンパクトのよく映るコンパクトカメラを体感できました。
一度巻ききってから1枚ずつ収納していくタイプなので、フィルム装填から少し時間が掛かりますが、もし不意に裏ブタが開いてしまっても撮影した分は保護されるのでこれはトレードオフかなあと思いました。
あと、縦持ちの時に左手親指でセルフタイマーボタンを押してしまったので、持ち方も少し慣れが必要かなと思いました。
また数枚の感光したコマが見られたので、こちらは対策を施して再チャレンジしたいと思います。

このカメラのワイドパノラマレンズを活かし24mmの超広角フルサイズ改造を行う強者もいらっしゃるようです。
ワイドパノラマ時に本来なら隠されるはずの周辺の光量落ちや流れなども独特の作風として楽しまれてるみたいですが、くれぐれも自己責任の範囲内で楽しみましょう。

令和現在も受け継がれる血脈の元祖、ぜひお試しになってみてはいかがでしょうか?