ローライフレックスやリコーフレックスなどの二眼レフカメラはその機構上、最短撮影距離に制限があります。
大体が1m前後辺りまでしか寄れないモデルが多いため、さらに接近して撮影したい場合は「ローライナー」に代表されるようなクローズアップフィルターを二枚(ビューレンズ用とテイクレンズ用)装着して撮影します。
そんな接写に厳しい二眼レフ界隈ですが、単体で1m以下で接写できる機種が存在します。
1つは世界唯一のレンズ交換式二眼レフのMAMIYA C330に代表されるマミヤCシリーズ。
広角から望遠まで交換式レンズを展開しており、最広角の55㎜だと24㎝まで寄れます。
そしてもう一つが今回のピックアップカメラ、東京光学の「TOPCOFLEX」です。
金属のピント板の内側に蛇腹が搭載されており、レンズ固定式の二眼レフとしては最短約0.6mと驚異的な接写能力を持っています。
このカメラは日本国内では「プリモフレックス オートマット」として1957年に発売されたようです。
国内版をあまり見掛けないので比較は難しいですが、見ていきましょう。

大沢商会のもと販売された「プリモフレックス」に比べ、一目でメーカーが思いつきやすい「トプコフレックス」名。
資料によっては自社ブランド版というだけみたいで、国内流通されていたのかまでは調べられませんでした…。

ボディ左側にはフォーカスダイヤル。最短0.65mの指標があります。ダイヤル側面にはフラッシュ使用の際のガイドナンバー早見表が搭載されています。

ボディ右側にはセルフコッキング式のクランクハンドル。ローライフレックスみたいにU字に往復するのではなく、ハッセルブラッド500C/Mやマミヤ645の様に1回転するだけでフィルム送り&シャッターチャージが完結します。
国内版「プリモフレックス オートマット」ではクランク基部に露出早見表が付いていましたが、この個体には剥がれてしまったのか元からなのか無かったです。

ちなみにクランクの横に付いているボタンは多重露光レバーです。これのオンオフが視覚的に分かり図らくて難儀しました…。

ビューレンズは3枚玉のTOKO 7.5/3.5、テイクレンズ(撮る方)は3群4枚のTopcor 7.5/3.5を採用。
シャッターは信頼のセイコーシャMXで最高速1/500のいわゆる上位グレードです。

ピントフードは珍しく革張りの無い金属剥き出しの仕様ですが、それほど違和感はありませんね。
他の二眼レフと少し違うのはフィルム装填の位置です。
一般的なモデルはフィルムは下から上に巻き上げていますが、この機種は平面性向上を目指し逆の上から下に巻き取っていくスタイルです。
(効果の程はどうなのでしょう…)


ここからは試写結果です。
フィルムはKodak ゴールド200を使用。
以前試写したプリモフレックスⅢA、プリモフレックスVaはややドライ目な写りの特徴を感じましたが、トプコフレックスは如何でしょうか。
※ちなみに今回の個体、たまに巻き上げが引っ掛かりレバーを何度かグルグル回さないとシャッターチャージ出来ないじゃじゃ馬コンディションでした…。
※掲載画像はブログ用にリサイズしています。

さすが120判、とても高精細な写りです。

最短撮影距離にて。二眼レフで60㎝まで寄れる強みを感じられました。

以前試したプリモフレックスよりもどことなく「湿度」を感じる描写です。合焦面のシャープネスも素晴らしく思います。

ややアンダー気味ですが、夜の雰囲気が程よく出たのではないかと。周囲のボケ具合も柔らかです。

こちらも定常光での一枚。やはりアンダー寄りですが、フィルムらしい質感になったかと思います。
【まとめ】
個人的には今まで試したプリモフレックスとはまた違う味わいに感じました。
撮影時の天候や露出、個体差による違いも出てくるかとは思いますが、どことなく湿っぽさを感じさせる写りは日本の四季と相性がよく思います。
この質感描写が国内向け「プリモフレックス オートマット」と同じなのか、いつか撮り比べてみたいです。
また、最短撮影距離65㎝はミディアムフォーマットが持つ立体感をさらに際立たせてくれる心強い武器ですね。
ただし上下レンズ位置による視差には要注意です。
クランク式の為軽快に巻き上げられ、テンポよく撮影できるカメラでした。
ピンポイントで探し当てるのは少々骨が折れるかもしれませんが、調子のよい個体に出会えたらぜひ家族に迎え入れてあげてほしい一台でした。
