等倍ファインダーが快適な使い心地「Nikon S2」

以前「ニコン S4」の記事を掲載しましたが、今回はそれよりも前のお兄さん機種「ニコン S2」のご紹介です。

1954年12月に誕生したこのカメラもかなりの難産であったようで、ニコンS2を発表直前にレンジファインダーの伝説「ライカM3」が1954年4月に発表されたことで、急遽巻き上げレバー、巻き戻しクランクなどを追加搭載したそうです。
これが奏功してか非常に使い易いカメラに仕上がっています。
また、先代「ニコンS」で24㎜×34㎜(日本判)と規格されていたフィルムフォーマットが世界基準の24㎜×36㎜となったことで日本はもちろん、世界でも高く評価されることになりました。

さっそく外観から見てまいりましょう。(S2前期型)
ちなみに後期型はマウント部やフィルムカウンターなどが黒く塗装された通称“ブラック・ダイヤル”と呼ばれ、ツートーンのボディがとても渋くてこちらもカッコいいです!

コンタックスに範をとったようなデザインで、流線形なライカに比べとても武骨な出で立ちです。

ボディ素材に先代までの砂型鋳物から亜鉛ダイキャストへ変更したため強度アップ+軽量化を実現しました。
また、コンタックスはシャッターにジュラルミンの鎧戸縦走りシャッターを採用していますが、ニコンS型はライカと同じく横走り布幕シャッターを採用。
ライカとコンタックスのハイブリッドのようなシステムになっています。

軍艦部も機械らしさを感じます。巻き戻しクランク基部のダイヤルはシンクロ同調ダイヤルです。シャッター速ダイヤルは高速ダイヤルの基部に低速ダイヤルを配置した一軸2段の回転式。持ち上げて速度をセットしますが、バルナック型と違い巻き上げ前でも変更出来ます

コンタックスやニコンS型はボディにピント調節機構の付いたバヨネットマウントを搭載しています。これによりライカL39マウントに比べレンズの交換が迅速・確実になっています。
また、ニコン&コンタックスマウントは形状が“ほぼ同一の規格”でレンズによっては共用することも出来るようです。
ですが、両機ではわずかにレンズの繰り出し量が違うようで微妙にピントが合わない可能性があります。

レンジファインダー・ニコン&コンタックス両機の特徴、フォーカシングギア。慣れると撮影のアクションが右手で完結してしまいます。
もちろん、ロックを解除すればレンズを回してピントを合わせることも可能です。
(使用感の少ない個体だとギアが重めで指が痛くなってくることが…)
ファインダーはライカも実現していない等倍仕様で、ファインダー内には50ミリ用のフレームのみ搭載されています。ロゴもどことなく優雅に感じられます。

大型のファインダーは非常に見やすく、やや緑色にコーティング(?)されているため二重像が視認しやすくなっています。
等倍ファインダーは両目を開いても倍率の差が無く、違和感なく構図外の様子を確認できます。
ただし、S2型はパララックス自動補正は入っておらず近距離での撮影は慣れがいるかもしれません。

日本光学の“やっこさん”マーク。

この“NIPPON KOGAKU TOKYO”ロゴはニコンS型には全機種刻印されているので、なんだか特別な感じがしますね。

さて、さっそく試写を行っていきます。
フィルムはデッドストックのフジフイルム スペリアX-TRA400を詰めました(期限が2カ月過ぎちゃいました…)

さらにS2には露出計が搭載されていないため、「VCメーター(初代)」を装備しました。
2代目に比べるとズングリムックリしていますが、非常に高い精度で測光してくれます。

レンズは担当の個人的なお気に入り、“NIKKOR-H 5㎝ f2”を使用しました。

ISO400ならではの粒状感が見られますが、フィルムカメラと思えないシャープさです。
RF機当時からニッコールレンズは力強い描写を持ち味にしていることが伝わってきます。
f値は2始まりですが、抜群の描写性能で解放から安心して使えます。
f値開放の最短撮影付近で。少し後ろがざわついていますが、構図の整理でバランスは整えられそうです。
開放寄りで。個体差でしょうか、強い光源が入ると少し滲みますが、解像感は優れている様に感じました。

【まとめ】
最初は取り扱いに少々慣れが必要でしたが、フィルム1本撮り終わったころにはかなり手に馴染んだ気がします。
なにより等倍ファインダーは二重像がくっきり見やすく、両目を開けていても不自然なく構図を収めることが出来るため非常に扱いやすく感じました。
ファインダー内のフレームが50㎜のみというのもすっきりしていて見やすいと思いました。
右手のフォーカシングギアを中指で操作して人差し指でシャッターを切る、といった運用方法は想像よりはるかにシームレスに撮影をすることが出来ました。
しかしM型ライカ、特にM4以降のフィルム装填に比べると、ニコンS型の裏蓋分離式は少々手こずる方もいらっしゃるかもしれません。
(ニコンFのフィルム装填に慣れている方は苦もないかと。)
それを補って有り余るほどの機能性に優れたカメラだと思いました。

50ミリ標準レンズが1本あるだけでいい!という骨太なあなた。
ライカとは違った毛色のレンジファインダー機を操ってみたいあなた。
誕生から70年を超えてなお第一線で活躍できる国産カメラを貴方の手で使いこなしてみてはいかがでしょうか

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