チロリと月の光

セラピードッグで有名なチロリとその子供たちの像は築地川銀座公園に設置されています。ご存知の方はおられることと思いますが私は説明を読むまでチロリの生い立ちを知りませんでした。チロリを保護しセラピードッグに育てられたブルースシンガーの大木さんのことをTV番組で拝見したことはあったのですが。色々と想像しながら眺めているうちに私の目を引いたのは居眠りしているワンちゃんでした。初めは安心して寝ているものと思っていたのですが生い立ちを考えながら見ているうちに疲れ切って眠りに落ちているのではと心配になりました。

犬は恐怖や不安を感じるとその思いを遠吠えで気持ちを表わすと言います。我が家の亡きテンちゃん(柴とスピッツの雑種)も母親のように心寄せる妻が数日留守した時など玄関ドア(室内)の前で幾度も声をふるわせ遠吠えしていたのを思い出します。

昼間の明るい光のなかで見るチロリファミリーは元気で陽気にも見えます。頭上をからかうように飛ぶ鳩を気にしているようにも。

少し奥まった場所には『月を呼ぶ』少女の像もあります。少女の正面の夜空に月が現れるのでしょう。

少女は自身の心の道しるべとして月を呼んでいるのでしょうか。悩める全ての生命のためなのでしょうか。チロリと子犬の心のよりどころになれる光のために、月を呼んでいるようにも見えます。

この日は雲が重く月の無い夜でした。街灯が眩しく少女やチロリの姿がより悲しそうに感じられました。

月夜に聞こえるチロリと子供たちの遠吠えがドビュッシーのピアノ曲へと変わることを願っています。

D VARIO-ELMARIT 14-50/2.8-3.5 ASPH.

以下はMinoltina-S/Kodak GOLD200