ここエモいポイント~ミノルタ TC-1編

「高級コンパクトカメラ」といえば必ず名前の挙がるカメラであり、ミノルタを代表する名機のひとつでもあるカメラです。

発売は1996年。チタン外装、極限に近い小ささ、レンズバリアーを閉じるとほぼ突起部の無くなる、洗練されたシャープでスクエアなデザイン。

左側の黒いレザーが、どこかクラシカルでノスタルジックな印象を与えます。

スイッチを押すと、素早くレンズバリアーが開き、レンズ鏡胴が現れます。

レンズ鏡胴部の縦横比は、ボディ前面の縦横比と同じ。デザインのこだわりを感じます。

このカメラの最大の売りである「写りの良さ」を生み出すのは、高解像力・ボケ味・ヌケの良さ、だけでなく、色再現までこだわり抜いた『G-ロッコール 28mm f3.5』。

ダイナミックで濃厚な描写が楽しめます。

そんなTC-1のエモいポイントはここ。

レンズ鏡胴部に近づいて近づいて。

ここ。絞りレバー。ギザギザです。

無駄が無く機能的なボディと各パーツの中で、ここだけがガジェット感を出しているというか、カメラとは全く関係のない何かを連想させてしまうというか。

チタンの鈍色と黒系の2色がほとんどを占める中で、唯一の赤い色が使われているのが、またなんとも。

完璧に思えるものの中に垣間見える違和感、不完全さ、妥協、人間臭さの様なもの。

それは、少し異質でありながら、どこか安心感を与えてくれている様に感じます。

これを、少々異質であるが故に注目や期待の対象になってしまう存在に重ねるもよし。または、ある状況下で少々浮いてしまっている(そう感じてしまっている)自分に重ねるもよし。

あるいは、70年代の特撮ヒーロの頭部を思い起こすもよし。キャプテンウルトラのキケロ星人ジョー(小林稔侍!)を思い起こすもよし。

ということで、ミノルタTC-1のエモいポイントは、間違いなくこの小林稔侍…じゃなかった。絞りレバー

異論は認めます。