機械式一眼レフの完成形「ニコンF2」

1959年に世界を驚愕させた日本発のフィルム一眼レフ「ニコンF」。
国内の報道写真家はもちろん、世界でも圧倒的な支持を得て愛されてきました。
そこから12年の時を経て、よりブラッシュアップされ生まれたのが「ニコンF2」です。

ニコンF2は1971年にプロフェッショナル向けのフラッグシップ機として発売されました。
初代ニコンFはそれまで日本光学が販売していたレンジファインダー機「S型ニコン」シリーズの血脈を色濃く残していて、プロご用達とはいえ操作性に少々クセがあるのも事実でした。(担当はFアイレベルも大好きですよ!)
今回のニコンF2は完全新規の設計とされ、非常にシンプルで扱いやすい機種になっています。

ニコンFと比べて大まかな変更点といえば
・最高シャッター速が1/2000に
・裏ブタが分離式から蝶番式に
・レリーズボタンがボディ前寄りに移動
といったところでしょうか。
内部のメカニズムも改良が加えられており、Fと持ち比べた際にハッキリと違いが実感出来るかと思います。

上部から。Fとは違い最初から露出計付きのファインダーも込みでデザインされたため、非常に精悍な顔つきの印象です。

底部を。ニコンFは露出計の電池をファインダー自体に入れていましたが、F2はボディ内に電池室が設けられています。

底のノブをCからOに回すと…

蝶番によって横方向に裏ブタが開きます。出先でのフィルム交換も非常に楽に行えるようになりました。

ニコンF2はファインダーのバリエーションが豊富なのも特徴。
今回の個体はAiレンズを快適に使える“DP-11”ファインダーを搭載した「フォトミックA」というモデルです。

ファインダー内のみならず、チラッと右を見るとシャッター速度が分かるように横向きに配置されています(露出計付きファインダーに限る)。実際に使うとわかる素敵ポイントですね。

セルフタイマーには秒数が印字されており、細かな時間設定が可能に。
ニコンFの最後期モデル「ニューF」にも同じデザインのセルフタイマーが搭載されています。

さて今回の試写ですが、少し前に撮影したためフィルムとレンズを失念してしまいました…。うろ覚えになってしまいますが、出来る限り表記しております。

Ai Micro Nikkor 55/3.5
Ai Micro Nikkor 55/3.5
Ai Nikkor 28/3.5
Ai ED 300/4.5(IF)

【まとめ】
さすがフラッグシップ機というべきか、非常にシンプルな操作性で使いやすく設計されているように感じました。
滑らかな巻上に、レリーズを押し込んだ時の“バシャン!”という力強いシャッター音は、いかにも自分が写真を撮っている気分にさせてくれます。
その質実剛健な体躯から、いわゆる普及機と比べるとお世辞にも日常的に持ち運びしやすいとは言えないかも知れません。
しかし、大柄なボディは指余りすることなくガッチリとホールドしやすく、その重厚感あふれる重さはミラーショックによるブレを軽減してくれるのに一役買っています。

余談ではありますが、今でも中級MF一眼機として絶大な人気を誇るニコンFMシリーズは「F2の小型版を出してほしい」という多くの要望に応えて製作されたという話があります。
それくらい基礎が完成されたカメラだということですね。
また、F2はかの歴史的冒険家『植村直己』氏が北極点単独走破の際にニコンに依頼して製造された極地対応型F2「F2ウエムラスペシャル」のベース機でもあり、このウエムラスペシャルを基に報道用「F2チタン」がつくられたそうです。

F2チタン“ウエムラスペシャル”

生産数も多いためか中古市場での相場も比較的落ち着いてますので(F2チタンなどの特殊モデルは除く)、これからフィルム一眼レフを始めるのにもピッタリの一台では無いでしょうか。
プロの酷使に耐える機械式フラッグシップカメラは定期的なメンテナンスにより、きっと末永く付き合えるパートナーになってくれるでしょう。

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