銀幕の小さな部屋 11巻目「ポラロイド」

段々と寒さを感じる季節となってきましたね。
今回ご紹介するのは、雪に包まれた小さな街で一台の古いカメラが惨劇を起こすホラー映画「ポラロイド」です。

【あらすじ】
雪が舞う現代の小さな街。カメラ好きの少女バードはひょんなことから、美品のポラロイドカメラを手に入れる。早速クラスメイトや憧れの男子を撮り回るが、一枚目に撮影した友人の訃報が届く…。

呪いのカメラを題材にした2019年に日本公開の作品です。
監督はリメイク版「チャイルド・プレイ」のメガホンも取った新星ラース・クレヴバーグ。彼が過去に製作した短編映画を長編にセルフリメイクした作品です。キャストもフレッシュな方々で、これからの活躍が楽しみですね〜。

映画「ポラロイド」より

主人公のバードさん。学生年鑑の撮影シーンですが、写真撮影でいきなりハッセルブラッドが出てきます。1999年発売のハッセルブラッド555ELDですね。モータードライブ内蔵のカメラでフィルムバックの他、デジタルバック(要付属マスク)にも対応しています。劇中のシャッター音もちゃんとハッセルブラッドぽいです。

映画「ポラロイド」より

そんなバードの愛機はペンタックスですね。レンズの白指標でKマウントだと判断できました。レンズは…単焦点レンズの50ミリくらいでしょうか。

映画「ポラロイド」より

はい、ペンタックスME super でした!1976年に発売されたPENTAX MEの後継機として1979年に登場した一眼レフです。MEは絞り優先機だったのですが、ME superはマニュアル機能が追加されています。また、シャッター速度が最高1/2000秒まで対応し、より表現の幅が広げることが出来るようになったりなどグレードアップされてます。ちなみに本機種からペンタ部の「ASAHI」が省略されています。劇中のフォーカシングスクリーンは違うような…。

映画「ポラロイド」より

続いて、今回のもう一つの主役、ポラロイド SX-70です。撮影したその場で写真が出来上がる画期的なポラロイドフィルムが生まれ、1972年に傑作シリーズの祖「SX–70」が誕生しました。

今回は同モデルの発展タイプ「SX-70 ALPHA-1」で見ていきます。

赤いボタンがシャッター。その上部の黒いダイヤルがピント合わせで、右の黒い窓は露出計です。

SX-70 ALPHA-1は、初代モデルに三脚やストラップが装着できるように改良された機種でより使い心地が向上しているみたいですね。ファーストモデルの初期型はレンズ周辺に放射状の線が入ってますが、途中からft目盛に変わるようです。このALPHA-1もft目盛ですね。

トサカのような部分がファインダーです。

今回初めて知ったのですが、ちゃんとピントを確認できるんですね。レンズ・F値は固定ですが、明るさに合わせてシャッター速度を変えてくれるようです。明暗コントロールも調整できるみたいです。

ここからフィルムカートリッジを挿入します。

ポラロイドはフィルムカートリッジにバッテリーが組み込まれているので、空のままではシャッターが切れません。

こんなにコンパクトに畳めます。可愛らしいですね。

調べていてわかったのですが、ポラロイドカメラはフラッシュを焚くには外付けフラッシュを装着しないといけないのですね。劇中のボディ単体での発光は演出のようです…。

さて、そんなポラロイドが巻き起こす大騒動。
序盤は日本ホラーのような心霊写真的な映画だったのですが、後半いつの間にかいつものアメリカンホラー映画になってました。ティーンエイジャーを意識したのか、グロテスクな表現などはほとんどなく結構ライトな感覚で安心して観賞できました。
気軽に写して、その場で確認できるまさに「即席カメラ」。
皆様もポラロイドカメラで集合写真を撮るときは、くれぐれもご注意を……

映画「ポラロイド」より

出典:「ポラロイド」(2019)
監督:ラース・クレヴバーグ
出演:キャスリン・プレスコット、タイラー・ヤング、ミッチ・ピレッジ