初詣は日本人の大切な年初めの行事です。令和四年の私は、人混みをさけて身近な稲荷で手を合わせようかと思っています。全国には数万社とあるそうです。年が明け銀座にお越しの節は立ち寄られてはいかがかと私なりの七稲荷を選んでみました。
◉宝童稲荷
宝童稲荷は猿のオブジェが導いてくれる先にありました。祠を取り巻くグレーの空間に朱の赤が一際は印象的です。我が子の幼いころを思い出し「悔いのない良き人生であれ」と、ただただ祈る自分でした。
◉幸稲荷
銀座柳通りを渡りしばらく進むと並木通りに抜ける路地があります。その中ほどにポツンと幸稲荷があります。祠の中から前を横切る急ぎ足の人々に「幸せかい」「元気かい」「無理するなよ」などと一人一人に暖かい言葉をかけてくださっているような、そんな優しさと温もりを感じる稲荷でした。
◉朝日稲荷
人通りの多い場所の一角にある朝日稲荷。お相撲さんが勝ち名乗りを受ける時のような無駄のない動きで合掌し、短いことばに祈りを込めたい稲荷でした。
◉豊岩稲荷
人知れず静かに。秘めた恋の成就のお願いに相応しい張りつめた空気が漂っています。それが豊岩稲荷です。人ひとりが通り抜けるのがやっとの暗い路地奥にあります。まれに人はなにかの気配を敏感に察知するときがありますよね。いつも鈍感な私ですが、敷地に踏み込んだ瞬間に冷やかしや冗談を許さない凄みを感じました。私の過去が反応を敏感にしたのでしょうか。
◉熊谷稲荷
花椿通りを昭和通りの方向に歩いていると等身大に近い少女像があります。思春期特有の清らかな瞳と女性へと変化する体の曲線。その肌に密着した美しい衣の質感。観入ってしまいました。少女が持つ椿の花を行き交う人が立ち止まり一緒に見つめる。そんな姿を連想します。少女像に手を振り少し進むと花椿通りと一体化した威風堂々の熊谷稲荷の姿が現れます。声に出しての祈願が似合いそうな稲荷です。南西からの光が訪れた人の背中を押してくれるからでしょうか。(七丁目には花椿のマークで有名な会社がありますね。)
◉あづま稲荷
カツミ堂に一番近い場所にあり毎日のようにお会いしています。晴れた日は一日中穏やか日差しを受け、粋さをも感じる路地の立地の影響もあるのでしょうか。極自然に立ち止まり手を合わせて行かれる方をよくお見かけします。きっと日々の生活の細やかな相談ごとにまで耳を傾けてくださる頼りになる稲荷なのでしょう。
◉靍護稲荷
GINZA SIXの屋上に東の方角に鎮座する靍護稲荷があります。清い心と思いやりに満ちた人のために寄り添い、一心に東光を浴びている稲荷ではと私は感じました。靍護稲荷を詣でた後、展望から望む360度の風景は新年の素敵なスタートになるのではないでしょうか。
以上の七稲荷に足を運んだ際の感想は私の個人的なものです。ご了承のほどよろしくお願いいたします。
撮影:RICOH R10