レンジファインダーカメラ「コニカ I型」

camera: Konica I
lens: Hexanon 50mm f2.8
film: Kodak Gold200

今回のカメラは日本最古参のメーカーだったコニカのカメラ「コニカI型」のご紹介です。

コニカの歴史はとても古く、明治6年に小西屋六兵衛店が写真機材を取り扱い始めたのが写真機との出会いのようです。
その後小西本店や小西六コニカなど社名や業態の変更を数度行った後、同じくカメラメーカーのミノルタと合併し、カメラ業界から撤退はしてしまいましたが、現代もコニカ・ミノルタとして続いています。
近代ではコニカC35やヘキサーRFなどの身近なブランドのイメージですが、明治期に暗函(あんばこ)と言われる箱型のカメラの製作や小西写真専門学校(現・東京工芸大学)の開校など、コニカ無しに日本の写真史は語れないほど結びついています。

I型は第二次大戦前の1938年に試作された「ルビコン」というカメラを基に、終戦後の1947年に製作が開始されました。最初は進駐軍向けに、その後一般向けに販売されたようです。

やや大柄ですが、非常にスリムです。

フィルムの給送こそノブ式ですが初代の時点で距離計連動や自動巻止め機構など、現代にも通じるシステムはすでに搭載されています。

この個体のレンズはヘキサノン50mm f2.8。

初期はヘキサー50mm f3.5が付いていましたが、ヘキサー50mm f2.8など数度の変更があるようです。
絞りはクリックがありませんが、スムーズに動くのでそれほど使いづらくはありません。
ちなみにレンズ名ヘキサーとは、小西六に縁の深かった「六」のギリシャ数字ヘキサからとったそうです。

このコニカI型はレンズが沈胴式になっていて…
運搬時はここまでコンパクトにすることができます!

もちろんこのまま撮影してしまうとピンボケ写真になってしまうのでご注意を。

シャッターはシンクロ付きコニラピッドS。速度はB〜1/500。

このカメラはシャッターボタンが本体に付いておらずレンズ上部のレバーでチャージ、右のノブがシャッターです。
巻き上げるだけではシャッターは切れず、巻き上げ→チャージ→シャッターといったプロセスが必要です。
シャッター機構はコダック製との話もありますが、果たして…

裏蓋の開閉はとても明快で、O(オープン)、C(クローズ)方向に回すだけ。
背面はファインダーと巻き止め解除ボタンのみとシンプル。

このカメラの弱点といえば、巻き戻す際に巻き戻しボタンがフリーにならないのでずっと押したまま巻き戻さなければいけない事でしょうか。
クランクでないので、意外に難儀です…

試写の結果は

発色は渋めですが、非常に解像度が高く感じます。

f値は2.8と少し暗めですが、この位の明るさならブレもなく撮影できました。

白トビもなく、提灯の柄も写すことができました。

今回ご紹介したカメラ、操作感・仕上がりともに非常に楽しいカメラでした。
特にファインダーは終戦直後とは思えない程見やすく、そのクオリティはコニカIIIにも受け継がれているので、程度の良い個体をお試しいただきたいシリーズです。

コニカの歴史は本当に膨大で、今回のご紹介では大部分を割愛してしまいました。
お時間あるときにぜひ触れていただければと思います。